現在、医療業界は深刻な人材不足に悩まされている。その原因として、業務量の多さや、不規則な勤務形態に対応できないなどの理由で、離職率が高いことがあげられる。
医療業界において人材不足が進むと、さまざまな問題が発生する。
1つ目は人材不足による人材不足の加速である。医療業界で働く人材が不足しても、仕事の量が減るわけではない。患者は医療従事者の人数に関係なく病院にかかろうとするので、医療従事者の人数が減れば減るほど、1人当たりの仕事量が増えるということになる。
前述の通り、医療業界における人材不足は、仕事量の多さに耐えられないという理由で離職する人が多いからである。つまり人材が不足すれば不足するほど仕事が増えるということは、人材が不足すればするほど、離職者も増え続けるという悪循環に陥るということである。
高齢化社会が加速している日本では、今後ますます医療の需要は高まってく。その需要に見合った人材を供給できなければ、医療現場は崩壊していくことになるだろう。
2つ目は、人材不足によって医療施設に格差が生まれるということである。医療業界の中でも他の業界と同じように、働きやすい職場というものがある。そうした職場は、IT技術などをうまく利用して、医療従事者の負担を減らす取り組みを行っている。こうした設備を整えるためには資金がいるため、そもそも人材が不足し、経営体力のない医療施設では行うことができない。今後は、IT技術の導入されている医療施設と、そうでない医療施設とで、医療施設間の収益格差がどんどん加速していく可能性があるのである。